作家・ライター
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ファッションは私に問いかける 〜 VIVIANO SUE 2018 S/S【Amazon Fashion Week Tokyo 2017】

最近、めっきり足が遠のいていたファッション業界。ここんところずっと、美容系の展示会とかには顔を出していたけれど、思い返せば、ファッションの展示会やショーには出ていなかった。

 

しかし、18歳の頃の私はファッションに夢中だった。いつかは必ずファッションの世界で有名になると、なぜか信じて疑わなかった。

 

私に衝撃を与えてくれたVivienne Westwood。

忘れもしない、福岡の岩田屋という百貨店でViviennne Westwoodの変形シャツなどを買っては、一度も着ずに解体して、どんなパターンをひいているのだろうとわくわくしたものだ。時給720円で働いていた私には、どんな贅沢だったか。

それはそれは楽しくてそれをまた縫い直して、自分でアレンジを加えるのも好きだった。ミシンは友達だった。

 

就職活動が始まっても、リクルートスーツを買うことは一度もなかった。髪も染めなかった、軟骨までびっしりと開いたピアスの穴はピアスをさしたままだった。そんなことにこだわっていないで髪の毛を黒くして就活すればいいじゃない、そのあとやればいいじゃない、という声は無視した。

 

まあそれでも、なんとかなって生きてきた。懐の深い会社に拾われてきたことは、私の人生で最も感謝すべきことのひとつだろう。色々あってファッションの世界からは遠ざかりつつあるが、今日は久々に胸がときめいた。

 

 

さて、前置きが長くなってしまったが、東京のファッション業界はこの数日間慌ただしい。Amazon Fashion Week TOKYOが始まったからだ。

以下、引用。

世界のファッション・ウィークの中でも、歴史性、話題性から情報発信力が大きい、
パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、そして東京の5都市で行われるものは、
「5大ファッション・ウィーク」と総称され、大きな影響力を持っています。

東京のファッション・ウィークが「Amazon Fashion Week TOKYO(アマゾン ファッション ウィーク東京)」(#AmazonFWT)です。

 

要するに、ファッションの祭典ということで、ファッション関係者はみんなこぞってショーを見たり、速報を書いたり、モデルの追っかけをしたり、はたまたパパラッチをしたりと忙しい。

 

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2018年の春夏のトレンドを一足先に楽しめたりするファッションショーは、随時ノンストップで様々な会場で行われている。
 

今回はご招待を受けていくつかのショーを見に行くが、今日はVIVIANO SUE(ヴィヴィアンノ・スー)の2018 S/Sコレクションのショーへと行ってきた。

2015年に設立されたまだ若いブランドで、ブランド名でもあるViviano Sueによって手がけられており、彼は中国出身アメリカ育ちという経歴を持っている。

 

爆音とともに始まったショーは、ドローンが一箇所に浮遊するところからスタート。

 

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フラワーアーティストであるTAKAYA KISHIMOTOとのコラボレーションとなった今回のVIVIANO SUEは「花の一生」を表現し、芽が出てから枯れゆくまでを、まるでひとつの物語のように丁寧に紡いでいる。

 

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ブレッブレだけど、どのモデルも花をつけたり持ったりしていることがわかるはず。

 

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(右下に @yuyanara さんが超写り込んでたことに、今見返して気づく)

 

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様々な素材で植物の茎や蔦が再現され、彼の得意とするボタニカルプリントが随所に。

 

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しかし、ドローンが気になる……。

 

そしてここからはクチュールのドレスへ。

 

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モデルのIVANさんが美しい白を纏って歩く姿は、まさに圧巻。

ちなみにわかりづらいけれど、顔には網目状に線を引いたメイクが施されており、チュールのヘッドドレスのような見た目が再現されていました、資生堂によるものだそう。

 

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芽から蕾へ、そして開花して散っていく様まで。始まりと終わり、生と死、そういった一貫した物語を描き切ったコレクションだと個人的には感じた。

また、東洋と西洋の自然体な融合がメイクアップなど随所から感じられ、デザイナー自身のルーツを体現しまくり、であった。

 

しかし、誰もVIVIANO SUEのことをアヴァンギャルドとは表現するけど、パンクとは表現しないのが結構気になる。私の勝手な思い込みかもだろうとは思いつつ、少し書いてみる。

 

個人的には彼こそ、この時代には珍しいくらいパンクだと思うし、Vivienne Westwood以上の面白さが詰まっていると感じているからだ。

 

花や蛇、骨などのモチーフが多用されるところに超チャイニーズマインドを感じるが(オリエンタルと言うべきか?)、一方でロンドン経由のパンクファッションならではのディティールも実はよくみると結構使いまくっていて(これに言及してる記事は検索したけど皆無だった)、

 

その無茶苦茶なところとか、こうすべきってときにそういう素材を使わないところとか(よくセオリーとは違う素材の生地を組み合わせたりぶっこんだりする)、サブカルの文脈ぷんぷんである。

要するに見た目じゃなく精神的にパンク、という感じ。

 

彼は自然素材(羽など)を使いまくるけど、もしもセックスピストルズ全盛期にこういう素材の上手な盛り方をパンクな少年少女が知ってしまったら、70年代のロンドンで彼らは頭に羽をぶっさして革ジャン着てたんじゃないかと思う。

そういうパンクファッションが歩んできたもののパラレルワールドを、彼のコレクションから妄想してしまうのだ。あと、個人的に自分がシンガポール出身だから、彼のチャイニーズな美的センスが好きだというのもきっとある。

 

とまあこんなことを考えていると、私は改めてファッションが好きだなあと思うのであった。あれってどうやって縫ったんだろうとか、あの素材をあの使い方をする斬新さ!という驚きとか、もうそういうものがノンストップに頭に浮かぶ。

 

好きなファッションで自分を着飾るという行為は、人を精神的に充足させてくれる。

 

モテようと思ってド派手なネイルをする女は居ない、彼女たちはパソコンのキーボードを打つたびに目に入り込む自分の爪に自己満足する。それはきっと男性が思っている以上に強い効果がある。

ファッションとはそういうものだと思う。自分の好きな服に包まれた時、私たちはその服の精神を肌で感じ取って楽しみ、なおかつ鏡の中の自分に興奮する。そして思う、これこそが本当の私の望む姿なのだと。

(なんかコムデギャルソン好きな人が語る文章みたいになっちゃったな)

 

なんというか、このファッションウィークで久々にお会いする人と触れ合うと、いろいろ思い出すのだった。私がどういう気持ちでファッション業界を目指したんだっけとか、どうしてファッションが好きだったんだっけ、みたいなアレを。

なんとなく遠ざかって、ついついZARAなんかを着ちゃって、ファストファッションでもう充分かも?なんて一周してしまっていた自分が恥ずかしくなった。私はこんなにファッションを軽視する人間だったのかなと。

 

 

ほどほどに流行を抑えて、小綺麗にしていることがファッションなのではない。久々に頭を殴られたのだった、ファッションは今日も私に問いかける。

「お前、その服着てていいわけ?」と。

 

私は今日、久々に思い出すのだった。

「これじゃ、だめだわ」ってね。

 

今日はショッピングして帰ろう。

 

 

 

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