作家・ライター
シンガポール出身,元気なシングルマザー
鬱々とした陰気な感情を,
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そこに、女の影を覚えるのならば

モテる男と付き合うことは難しい。

いや、これは正確ではない。言い方を変えようか。

女の扱いに長けている男と付き合うことは、難しい。

 

何を隠そう、わたしのパートナーがそうだ。

ついつい嫉妬してしまうので最近の彼のモテ事情を追求をすることは避けるが、とりあえず彼は昔、非常にモテる男だった。(なんてったって、その頃に好きになってしまったわたしは非常に苦労したから分かる)

だから、彼はその頃の経験があるからか、女の扱いに詳しい。こうすれば喜ぶ、ここをくすぐれば落ちる、そんなことをわかっている。

 

すると何が起きるかというと、彼が連れて行ってくれる店に、女の影を覚えるのだ。

 

もしかして、ここ、前に誰かと来たのではないか? そんな疑念が、ふと、通り過ぎる。素敵なレストラン、美味しいスイーツ屋さん、楽しい遊園地。どこに行ったってその影を覚える、しかも迷惑なことに、わたしはあることないこと予想して「勝手に」その影を覚える。

 

嫉妬深いわたしは、その影を見るたびに、死にそうになっていた。

彼にとってはなんてことのないことが、わたしには痛烈に突き刺さる。たとえば迷いやすい場所で、店員に何も聞かずにトイレに一直線できる彼の姿は、この場所に過去に来ているからに他ならない。なんてふうに、勝手に勘よく気づいてしまう。

 

……ということで、ちょいとここから文体は変わるが、諸君。わたしはこれに関する、非常に有用なライフハックを覚えた。こういう場合、「上書き保存」を意識するのである。はい、ここ、テストに出ます。メモしてくださーい。

 

この場所に他の女とも来たかも、なんてことを感じた時には、すぐに「上書き保存」を意識すること。

その場所で過去に彼が「見たことのない」ことをして帰るようにするもよし、猛烈にここぞとばかりに喜んで見せて「ここにはコイツときたんだな」と彼に刷り込ませるもよし。

ってかぶっちゃけると、結果的に、その「わたしと来たんだよね」な意識の刷り込みが彼に出来てようが出来てまいが、関係ないのだ。要は、こっちのモヤモヤがそれによって晴れれば良いのである。だって、こっちの意識をどうにかするのが今回の問題なので。

 

わたしはここで、彼に対して上書き保存をしてみせたんだ!

そう思うだけで、幾分か心は勝手にスッキリするのである。

人間の過去は変えられない、ましてや他人の過去など、相手の脳みそにケーブルつないでハッキングでもしない限りどう感じているかなどわからない。

 

でも大抵の場合、相手は実はたいして深いことを思い出しちゃいない。そう、悲しいほどにな。

こっちが不安いっぱい、爆発寸前、とまでなっていても、相手は「あー、過去にはあいつとも来たな」と一瞬、そりゃ、ほんの一瞬だけ思ったとしても、次の瞬間にはキレイさっぱり忘れて、目の前にいる自分に注力してくれていたりする。「こいつよく食べるなー」なんてのほほんと、微笑みながら。

 

なのに相手を戸惑わせるような「ここ、誰ときたの?」、「わたしじゃない女と来たんでしょ」なんてセリフを、そこで間違っても吐いてはいけない。それは、相手を戸惑わせるだけなので、そして何の生産性もないので。

 

いや、わかるよ。めっちゃわかる。言いたくなるよね。聞きたくなるよね。だよね〜。

 

でも、やめよう。楽しいデートの時間に自分からパンドラの箱を開けに行って、重苦しい空気を呼び寄せるだけだし、バカバカしいじゃないか。それでも、どうしても、どうしても聞きたかったら、よし、せめて老後に聞くことにしよう!!!

わたしはどうしても聞きたいこと(相手の都合の悪いこと)があったら、黙って飲み込んで「60歳になったら聞こう」と決めている。ラブラブな自信があるなら、老後も一緒にいるでしょ。

 

そうやってメラメラと燃える嫉妬の炎を、未来に先送りしている。ちなみにその老後に聞くことリストは、すでにすごい数になっている。

 

ということでダーリン。多分あなたはここを読んでいるだろうから、60歳のときを覚悟するように。わたしは執念深く、嫉妬深く、なかなか物事を忘れない人間なのはご存知の通りだから。

 

そして皆々様、ここまでのライフハック、それなりに効果的なのでオススメです。はい、デート先で勝手に女の影を覚えるな! 上書き保存をしまくれ! それでもすっきりしなくて都合の悪いことを聞きたくなったら、老後に先送り! 以上、リピートアフターミー!

 

たぶん、60歳になる頃には伝えても彼は許してくれるだろうからね。だけども、わたしもその頃まで覚えていたりするんだけどね(微笑み)。

以上、最近わたしが見つけたライフハックでした。こちらは深夜4時に書いたブログです。ご静聴、ありがとうございました。

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