作家・ライター
シンガポール出身,元気なシングルマザー
鬱々とした陰気な感情を,
軽やかでポップな文章にするのが得意です

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ひとに寄り添うということ

ひとに寄り添うことは、難しい。

当事者でもないのに、他人の気持ちがわかるだなんてことは不可能かもしれない。他人に「あなたは大変だね」なんて言ったところで、そのひとの本当の気持ちには決してたどり着けない。だけども、それでも。わたしはひとに寄り添いたい、と思うのである。

 

シンガポール人と日本人とのハーフであるわたしは、日本語が話せないことで、日本の習慣や文化がわからないことで、イジメを受けたことがある。

それだけなら、まだいい。シンガポールにいれば「日本人だ」と言われ、日本にいれば「外国人だ」と言われ続けた。言語も文化も中途半端なわたしの母国はどこにあるのだろう、居場所はどこにあるのだろう。アイデンティティが揺らぐこの深い苦しみは、親にもわからぬものだったようで、わたしは随分と長い間苦しんだ。

 

もしも、そんなときに。うまく言語化できなかったこの気持ちを、誰かがうまく伝えてくれたなら、誰かがまとめてくれたなら、誰かが寄り添ってくれたなら。

どれだけ嬉しかっただろう。救われただろう。未だに強く、そんなふうに思うのである。

 

話は変わる。わたしの周りには、様々なひとがいる。

自身がLGBTであることに苦しみ、それを理由に親と絶縁した友人は、笑いながら親に会いたいな、就職しづらいなと言いながら酒を飲み、交通事故で亡くなってしまった。

眩しいほどに才能があふれているにもかかわらず、いつまでも自信のなさにとらわれてしまう精神疾患と戦っていた後輩は、数年前に自らの手でこの世を去ってしまった。

他にも多くのことで苦しんでいる人がいるが、特にこのふたりはわたしに大きな影響を残している。

 

彼らに、もっと寄り添うことができたならば。言葉を、聞いてあげられたのならば。または、どこかの言葉を伝えてあげることができたのならば。

 

もしかすると、ほんの少しでも何かできるのかもしれない。できたのかもしれない。だってだって、世界はこんなにも可能性に満ちているのに、どうしてわかんないんだ、ばかやろう。

 

過ぎたことは取り戻せない話だとは、とっくにわかっている、知っている。結果としては何もできなかったとしても、第三者からは自己満足と言われても、それでもわたしは寄り添いたい。せめて、これからは少しでも悩んでいるひとがいれば、わたしは他の誰になんと言われようと、寄り添って話を聞きたい。いや、聞く。

 

 

どうにかそれができたならばと強く思っていたところ、先月soarと出会った。

soar(ソア)|人の持つ可能性が広がる瞬間を伝えていくメディアプロジェクト

 

様々な人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていくメディアであるsoarの説明文を読めば、

 

本来、人は誰でも自分の内側に高いエネルギーを持ち、可能性に満ちています。
ですが、世の中には様々な要因から、その可能性にふたをされてきた人たちがいます。

一方で、世の中にはこうしたふたを開けようと、 デザインやビジネス、アート、テクノロジーなど、様々な手法を用いて活動している人たちがいます。
ネガティブだったものをポジティブに転換し、 これまでとは異なった新しい関係性を構築しようとする動きが、 世界中の至るところで生まれているのです。

「soar」は、こうした事例をリサーチし、様々なかたちで発信していくことで、
同じ願いを持つ人たちが集う場を生み出し、 誰もが自分の持つ可能性を活かして生きていける未来を創ります。

 

と書いてある。わたしはこれに打ちのめされた。

インタビューを読めば、まさにわたしが欲しかった、知りたかった情報で溢れていた。

 

どんなひとにでも可能性は満ちている、そんな当たり前のことにどうしてみんな気付けないのだろう、それを打破するにはどうしたら良いのだろう。その答えが、ここのインタビューにあった。

みなさんにも、是非とも読んでほしい。

 

そんな活動をしているsoarに、ご縁あって先月からジョインしている。まだまだsoarに対して何もできていないわたしではあるが、今日ここまで自分の気持ちを語ったのには理由がある。

現在、代表の工藤が貯金を切り崩しながら行っているというこのsoarの活動に、ぜひとも応援をお願いをしたいのである。

 

 

クラウドファンディングで資金集めをしている今、うまくいけばさらに多くの人々の可能性を広げる活動ができるようになることは言うまでもない。

すべての人の可能性は満ちているし、広げられる。シンプルだけど、まだまだできていないこのことに、少しでも共感をしてくれた人はお金を少し出すでも、シェアするでも、せめてこんなサイトがあるのだということを心の中にとどめておくでも。どうか、ぜひに。

 

世界は広くて、感動することもあるけれども、わたしたちひとりひとりができることは意外と少なくて。ときにはそんな事実に打ちのめされそうになることもある。それでも、負けずに寄り添い続ける。発信し続ける。凛と、未来を見続ける。

そして、可能性を広げていく。それが絶対にできるとわたしは信じているし、諦めたくない。だからこそ、わたしはsoarに参加している。そして今日もひとに、寄り添っている。

 

 

最後にちょっとおまけ。そんなsoarが、5月24日火曜日に東京にてイベントを開催する。

 

素敵なパーティーの時間もあるこのイベント。時間の都合がつけば、あなたも是非に!

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